就活の軸は屋久杉

 

屋久島に呼ばれて、やさしく包まれた日々から、2ヶ月が経とうとしている。

 

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私は、大学3年生になった。

 

 

屋久島という非日常から帰ってきてまもなく、

「就活」という蠢めくような現実が迫ってきた。

 

最近、屋久島にいたという記憶は私の夢のなかの出来事だったんじゃないかなっていうくらい、東京からはあらゆる意味で遠い場所なのだと考えている。

 

小田急線の車窓に映る、物憂げな私の顔。

 

スマホを開けば、企業からのお祈りメール。

 

落ちにくい汚れが付いてしまった、お気に入りの白いスニーカー。

 

 

私は、また、自分を見失ってしまいそうだよ。

もっと自分のこと知りたいのに、マイペースな私を待つわけもなく、もうすぐ6月1日になる。

 

みんな、得体の知れないものにかき立てられるかのように焦っている。

 

こんな今だからこそ、私を素直にしてくれた屋久島の、ぼんやり淡くなってきて忘れてしまいそうになっている記憶を言葉として残したい。

私の言葉たちが、同じ時代に生きるみんなの勇気になればいいな。

 

 

 

 

 

 

私が屋久島に行こうと思ったのは、

偶然、そいちゃんのfacebookで、そいちゃんの友達が主催しているイベントのお知らせを見たから。「行かなきゃ!」って思ったの、その時。「今、行かなきゃ!」って。

 

でも、葛藤はあった。いろいろと。

 

結局、ありったけの金で、鹿児島の行きと帰りの飛行機のチケット取って、屋久島の行きと帰りのフェリーも取った。

 

鹿児島前泊。

トンカツと元祖しろくまとラーメン食べた。

どれも美味しかった。

 

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(セルフタイマーで撮った孤独なざっしーの図)

一人で見知らぬ土地を歩くのは大好きだ。

 

翌朝。屋久島行きのフェリーの出発間際、そいちゃんと会えた。そいちゃんをもっと知りたくて自然といろいろ深掘って聞いちゃった。そしたら、「ざっしーの質問いい!もっと聞いて!」って言ってくれたからびっくりしたけど嬉しかったな。

 

屋久島では365日のうち360日は雨が降る。

なのに、私たちがいた間はずっと晴れていた。

そんな奇跡の滞在記をあなたはこれから読むことになるのだ。

 

 

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(到着してすぐ、そいちゃんと撮った記念写真)

 

 

 

≪1日目≫

 

ガイドのヒロミの車に乗り込んで出発。ヒロミが、「屋久島の水を飲むことで、屋久島の森や動物と同じ水が体に流れるんだよ」(ニュアンス)と言ったので、私はこれから4日間屋久島の水(orあわよくば屋久島の酒)しか飲まんぞと心に誓ったのである。

他にもヒロミの話を引き出せて「いい話聞けた!」と思って喜んだのだが、どんな話だったか…鳥頭なので忘れてしまった。

 

まず、屋久島に着いて、川に入りに行った。

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いくら屋久島とはいえ、春。

そんなことは関係なく、ここに全身を浸した。

地球の長老のような屋久島と、都市から来た自分をチューニングする必要があったのだ。川に頭を突っ込んだ瞬間、私の中のギアチェンジが起こった。ヤクシマナイズだ。

 

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脱ぎ捨てた白いスニーカー。

 

夕飯は、エミカさんが作ってくださった、めーちゃくちゃ美味しいカレー。スナップエンドウの心地いい歯ごたえを覚えてる。

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食後のデザートのグァバのシャーベットが、あのね、まるで宝石のように綺麗だったので、写真撮った。見てよ!キラッキラだよね!

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この日から2日目まで泊まったゲストハウス、たくさんの本があって。

ゲストハウスの本棚を一瞥して最初に目に入った本、『ザ・シークレット』。なんだこの運命的な、本との再会は!と思った。

(これについては、詳しくは前記事「ハッピーバレンタイン」を参照)

 

 

 

≪2日目≫

 

AM 6:00 早起きは慣れてるので、ギリギリまで寝ていた。同じく、ギリギリまで寝ていて手間取る同部屋の子達を見つつ、「先行くね」と言い、さっさと集合場所まで行く私。

ほんっと、いやなやつ。後からこの時の私を俯瞰してみて、心底、自分のこと嫌いだと思った。自分自身の愚かさを知るのは、それは数時間後になる。

 

今日は早朝から山に登り屋久杉に会いにいく。

ヒロミに「今日は時計を見ないで」と言われたので、時計を見ないと決め屋久杉を目指す。

 

森にいる全てを愛しつつ、前に進む。

 

屋久杉ってさ、朽ちていきつつも新しい世代を育てているんだって。それは、土を食べた時、実感できた。土というよりパルプだった。

 

宮崎駿作品の『もののけ姫』の世界。

用意周到な私は、もののけ姫のサントラを1ヶ月に渡り体に染み込ませていたので、森に触れるたび、あふれでるメロディー。

 

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(photo by zashipiyo)

 

死ぬまでに一度は見てほしい、この色。

緑というのか、青というのか、なんと形容したらいいかわからないけど、人間を遥かに超える存在を確信させてくれる色。そして静寂。

 

静寂の中で鳴るお腹。時計なんか見なくとも、腹時計はずっと前からお昼の時間と言っていた。

 

ようやく着いた釈迦杉。

 

手渡されたおにぎりの包み。

「ありがとう太陽

ありがとう大地

ありがとう愛する人たち

すべての恵みに心から感謝します

体と心が強くなりますように

いただきます」

と唱えてから食べるのがルール。

ただのおにぎりなんだよ?ほんとにただのおにぎりなんだけど、その美味しさに泣いた。

スマホもほぼ遮断して森とだけ会話してたあの時は、とても感性が研ぎ澄まされていたのだと思う。

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ヒロミが「みんなのこと名前で呼びたい。オレも昔、違う名前で生きてたけど沖縄で会ったおばあちゃんに言われたのね、あなたは何者かになろうとしてるって」と話したところで、

 

みんなにカトウと呼ばれていた舞が、マイに戻った瞬間を見た。

 

そこでわたしも、はたと気づいた。「ざっしーって呼ばれることで何者かになろうとしてた」って。そこで、私もトモカに戻ることにした。

みんなにそれを話している途中で泣いた。

この時の私の涙を覚えているあの子のことは、

たくさん名前で呼んでいきたい。

泣き虫の私は、また泣いてしまった。

 

釈迦杉まで来たら山を降りてゆく。

下山途中で、産まれたての子鹿のように足がプルプル震えてしまったので、サポーターをしてもらった。そして、みんなが私が下山しやすいように隊列の順番を変えてくれたり、適切なタイミングで手を差し伸べてくれたり、励ましてくれた。

 

ああ、そういえば、これまで私は一人でなんでもできると思って生きてきた。でも、一人では生きていけない。こうやって、ずっと誰かに見守られ助けられて生きてきたよね。

今朝の自分の愚かさをここで噛み締めていた。

 

温泉に入り、おいしいおうどんを食べて、ゲストハウスに戻った。寝る棟とは違う棟に灯りが点いてる。通りがけにチラリと覗くと、見覚えのあるお兄さんが、ゲストハウスのオーナーと話しながら、美味しそうなお酒を飲んでいるので、お邪魔した。(そいちゃんと一緒に♪)

 

20歳になったばかりの私。お酒に目がない。

お兄さんが、飲んでいいよと分けてくれた。

「三岳」という屋久島のお酒。

水の美味さと、地酒の美味さは比例する。

酒のつまみは、屋久島産のタンカン。

(タンカンは鹿児島特産のかんきつ類。これほど美味しい🍊はないと思うの)

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お兄さんのことは、その日に登った山の休憩所でもお見かけしたんだけど、まさかお話するとは思ってもいなかったよ。大分県佐伯市で地域おこし協力隊をやっている方だった。

ここでもたくさん質問して、佐伯市の魅力などたくさん喋ってくれたので、誰かの話を引き出すの好きだなーと思った。

 

泣いたらすぐ寝るのが赤ん坊だけど、それと同じようにこの日の私もぐっすり眠れた。

 

 

 

≪3日目≫

 

またこの日もギリギリに起きる。

同部屋の高校1年生の女の子の準備のサポートをして、忘れ物チェックをして、最後に部屋を出た。昨日の私とは違うよ。

 

私たち、ゲストハウスを出発して、今夜は山で寝る。この日の夜が怖くてならなかった。

は?!?!正気か?!

だって、山で寝るんだよ?!?!

 

というか山で寝る前に夜は宴があったから、

宴のための準備もみんなで分担して行った。

 

火起こし、テント張り、調理、野草採り。

私はもちろん、野草採り。

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準備ができたら、みんなで火を囲んで、一緒に楽しく「食べた」。食べるっていう行為は元来こんなにも尊かったのだ。

 

食事が終わったら、さらに燃え盛る火を囲んで、ぽつりぽつりと言葉を紡いでいく。

 

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ハーブティーを飲み、山に入り眠りにつく。

何を怖がっていたんだろう。

怖くはなかった。

人間が森から搾取しようとさえしなければ、

森は私たちを包むゆりかごとなる。

 

 

 

≪4日目≫

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(4日目の朝ごはん🥣)

 

鹿児島行きのフェリーの時間が来て、ヒロミが「またいつでも還っておいで」と言ってぎゅっとしてくれたことを覚えている。ヒロミだけじゃなく、ひとりひとりとお別れの言葉を交わしていたら出発時刻が来た。よろめきながら、涙でぐしゃぐしゃの顔そのままに駆けた。

そして、鹿児島空港にて、数ヶ月ぶりの生理を確認した。大学の課題に追われて、朝ごはんはいつも抜いて昼ごはんもろくに食べず、夜は遅く朝は早く(2年生の時は毎朝5時半起き)という生活をしていた。そのせいか、体の不調が続き、電車の中で倒れたりということもあった。だから、体からのもっとも素直なメッセージで、屋久島での日々は体の芯まで私を癒してくれたのだと悟った。生理がきただけでこんなに嬉しかったことはない。

東京に戻る飛行機の中で、いつのまにか眠りについた私は、やさしい夢を見ていた。

 

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屋久島の森の中に入って、そこにいる者たちとつながった日から、私の心のなかに、森がある。また人生の節目で、きっと屋久島とわたしのなかの森が共鳴する。つまり、呼ばれる。

 

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就活の軸?揺るがないものは、in my heart

就活の軸は屋久杉、ということで。

いざとなったら屋久島に還る。

それくらいの気持ちで生きていく。

 

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P.S.

実はね

次の一人旅の旅先も決まりましたーー!!!

次は本当にずっと一人だよ😘

to be continued...ってやつです!!!